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図の企業AはフロアAとフロアBの2つのフロアがあり、各フロアにはルータが設置されている。これらのルータはフロア内のLANを中継するルータである。ここではそのルータをフロア内ルータと呼ぶことにする。
企業Aと外部との境界にもルータが配置されている。このルータは企業内のフロアとフロアを中継するためのルータである。ここではこのルータを企業内ルータと呼ぶことにする。
企業AはISP-Aというプロバイダに所属している。企業Aの企業内ルータはISP-Aのルータに接続されている。企業Aだけでなく、企業Bや大学Cのルータもこのルータに接続されている。このルータはISP-A内の組織と組織を接続するためのルータである。ここではこのルータをISP内ルータと呼ぶことにする。
ISP-Aの境界にあるルータはIX(Internet eXchange 、インターネット接続拠点)や他のISPに接続されている。またISP-Aのルータだけではなく、他のISPや地域ネットワークのルータもIXや他のISPに接続されている。このIXはISPや地域ネットワークなどの自律システム(AS
: Autonomous System)同士を中継するための接続拠点でインターネット相互接続拠点とも呼ばれる。他のISPやIXに接続するルータをここではISP間ルータと呼ぶことにする。
ここで自律システムについて少し触れておく。自律システムは統一されたポリシーによってネットワークを管理する組織のことで、主に大手のISPを表す。自律システムには必ずAS番号が割り当てられ、その管理は日本ではJPNICが行っている。AS番号は大手ISPだけではなく、一部の学術機関や大手企業にも割り当てられている。以後、自律システムのことを単にASと記述する。
インターネットの全体像を眺めてきた中で、さまざまなルータが登場したが、個々のルータに必要な経路情報はどのようなものがあるのだろうか。フロア内ルータにはフロア内の全てのホストと企業内ルータへのデフォルトルートが必要だ。企業内ルータには企業内の全てのホストとISP内ルータへのデフォルトルートが必要だ。ISP内ルータにはISP内の全てのホストと他のISP(AS)へのデフォルトルートが必要である。
個々のルータに必要な経路情報は分かった。それでは、どのようにその経路を取得するかが問題になる。ホストの数が少ないときは管理者が手動で設定する。これをスタティックルーティング(static
routing)という。しかし、この場合、ホストの追加や削除などによるネットワークの変更があったときの手動でルーティングテーブルを設定しなおさなければならない。また、ホストの数が増えると管理者の負担が増す。
ホストの数が多いときは自動的に設定するようにする。これをダイナミックルーティング(dynamic
routing)という。ダイナミックルーティングでは、ネットワークに変更があっても自動的にルーティングテーブルが変更される。このダイナミックルーティングを行うためのプロトコルをルーティングプロトコル(routing
protocol)という。
使用するルーティングプロトコルは扱う経路情報の規模に応じて異なる。現在、使用されているルーティングプロトコルは以下の通りである。
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表3.1.1:経路情報の規模とそのルーティングプロトコル
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ルータ
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ルーティングプロトコル
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・フロア内ルータ
・企業内ルータ(小〜中規模) |
RIP
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・企業内ルータ(中〜大規模)
・ISP内ルータ
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OSPF
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| ・ISP間ルータ |
BGP
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これらのルーティングプロトコルについて次節から説明する。
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