目 次
目 次/関連項目

1.6 IPマルチキャスト

1.6.1 IPにおける3種類のパケット送信方法

  IPにはパケットを送信する方法が3種類ある。それはユニキャスト(unicast)ブロードキャスト(broadcast)マルチキャスト(multicast)である。

1.6.1.1 ユニキャスト

  ユニキャストは1つのホストに対してパケットを送信する方法のことである。Webページの閲覧やファイルのダウンロード、メールの送信などは全てユニキャストである。パケットを送信するときに指定するアドレスは宛先ホストのIPアドレスである。一度に多数のホストにパケットを送信したいとき、ユニキャストでは宛先を個々に指定しなければならない。そのため動画や音楽のリアルタイム配信には不向きである。

1.6.1.2 ブロードキャスト

 ブロードキャストは全てのホストに対してパケットを送信する方法のことである。パケットを送信するときの指定するアドレスはホストアドレス部を全て1にする。ブロードキャストで送信すると通信経路上にパケットが氾濫することになるため、あまり使用すべきではない。

1.6.1.3 マルチキャスト

 マルチキャストは1度に多数のホストにパケットを送信するための方法のことである。ブロードキャストと異なる点は、マルチキャストでは指定したグループに所属するホストにのみパケットが送信されることである。マルチキャストは動画のリアルタイム配信など、大勢のユーザーに対して1度にパケットを送信するときに便利である。
 IP(IPv4)におけるマルチキャストはIPマルチキャスト(IP multicast)と呼ばれる。


1.6.2 IPマルチキャストの概要

 IPマルチキャストではクラスDのアドレス(224.0.0.0 〜 239.255.255.255)がマルチキャストを使用のために確保され、アドレス(これをマルチキャストアドレス(multicast address)と呼ぶ)ごとにパケットの送信先グループが決められているものがある。主なグループを表1.6.1に示す。

表1.6.1:用途が決められているマルチキャストアドレスの一部
アドレス
内容
224.0.0.0 (予約)
224.0.0.1 サブネット内の全てのホスト
224.0.0.2 サブネット内の全てのルータ
224.0.0.5 OSPFルータ
224.0.0.6

OSPF指名ルータ

224.0.0.9 RIP2ルータ
224.0.0.12 DHCPサーバ/リレーエージェント


 また、全てのマルチキャストアドレスは以下のサイトで参照できる。
 http://www.iana.org/assignments/multicast-addresses

 これらのマルチキャストアドレスに送信されたパケットを受信するには、そのグループに参加しなければならない。グループに参加するには、そのグループメンバに追加することを隣接するマルチキャストルータ(multicast router)に通知する必要がある。 マルチキャストルータとは、マルチキャストアドレス宛てのIPパケット送信するルータのことである。IPマルチキャストを利用するためには、通信経路上のルータが全てIPマルチキャストに対応していなければならない。

 マルチキャストルータはそのグループ宛てのパケットを見つけると、パケットをそのルータが対象としているグループのユーザに送信する。ルータから先はユニキャストとしてユーザーの元にルーティングされる。つまり、無駄な送信を最小限に抑え、グループの全てのユーザーがパケットを受信できるようになっている。

1.6.3 IGMP

 IGMP(Internet Group Management Protocol 、インターネットグループ管理プロトコル)はマルチキャストグループにどのホストが参加しているか確認するために、ルータ、ホスト間で通信を行うためのプロトコルである。IGMPはIPパケットの1機能として装備される。

 IGMPでは、マルチキャストルータがサブネット内の全てのホスト(宛先:224.0.0.1)に対して、照会(query)メッセージを送信する。このメッセージはネットワーク上のどのホストがマルチキャストグループのメンバかを発見するために使用する。照会メッセージを受信したホストは、自分が属するグループのアドレスを報告(report)メッセージとして応答する。

1.6.4 IPマルチキャストの現状

 現状ではマルチキャストパケットを処理できるISPがほとんど存在しないことや、マルチキャストルータの整備の遅れのため、IPマルチキャストは本格的に導入されていない。しかし、今後は音楽や動画の配信などでマルチキャストが本格的に利用されることが期待されている。