目 次
目 次/関連項目

1.2 IP

1.2.1 IPの役割

 相手に情報を伝達するためには、その相手の住所が分からなければならない。また、住所が分かっても、そこまでの経路が分からなければ目的地にたどり着くことができない。これは私たち人間が旅行に行くときにも同じことが言えるだろう。例えば万里の長城へ行こうとしたとき、万里の長城がどこにあるかを知らないと行くことができない。また、どのような交通手段で行くかを決めないと行くことができない。

 IP(Internet Protocol)はコンピュータごとの住所を定め、パケットをどのような経路で送るかを決め、パケットを世界中のコンピュータに送るためのプロトコルである。本章では、このIPについて説明する。まずはIPの機能、役割にはどんなものがあるかを見てみよう。

1.2.2 アドレス設定・識別

 コース1で説明したように、同一のデータリンク内でホストを識別するアドレスにはMACアドレスが使用される。 ネットワーク層でもホストを識別するアドレスがある。このアドレスをIPアドレス(IP Address)という。これはインターネットの世界でコンピュータにつける住所と考えることができる。このIPアドレスを割り当てるというのもIPの役割の一つである(図1.2.1)。

図1.2.1:インターネットに接続する全ての機器にIPアドレスが割り当てられる



1.2.3 経路制御(ルーティング)

 宛先を指定しただけではパケットを宛先ホストに送ることができない。パケットを宛先ホストに無事に配送するためにはどのような経路で送るかを決めなければならないからだ。このパケットを配送する経路を制御することをルーティング(routing)、または経路制御という。 データリンク内でパケットを中継する機器にはスイッチ(ブリッジ)やリピータがある。ネットワークとネットワークの間でパケットを中継する機器はルータと呼ばれる。 ルータは目的のIPアドレスに対する次のルータ(ホスト)を記したテーブルを持っている。このテーブルはルーティングテーブル(routing table)、または経路制御表という(図1.2.2)。

図1.2.2:経路制御で行き先を決める

1.2.4 IPパケットの分割・再構築

  パケットを宛先ホストに配送する際に、パケットは異なるデータリンク間を経由する。データリンクごとにデータの最大サイズ(MTU : Maximum Transmission Unit、最大転送単位)が決められている。そのため、送信したいパケットがMTU以上のときはパケットを分割しなければならない。また、分割して送信した後、受信側でパケットを元に戻す必要がある(図1.2.3)。 このIPパケットの分割・再構築処理もIPの役割である。このIPパケットの分割と再構築についてはコース2の第2章で説明する。

図1.2.3:IPパケットの分割と再構築


1.2.5 IPはコネクションレス型のプロトコル

 IPはコネクションレス型(connectionless)のプロトコルである。コネクションレス型のプロトコルとは相手と接続しているかを確認することなく宛先を指定してパケットを送りつけるプロトコルのことである。IPではパケットが途中で行方不明になってもその対処は行わない。冒頭で述べたとおり、IPは世界中のホストにパケットを送り届けるためのプロトコルである。しかし、確実にパケットを送り届けるためのプロトコルではないということに注意してほしい。パケットを送り届けることができなかったときの対処はICMPの役割である。また、相手との接続を確立し、パケットを確実に送り届けるのは、トランスポート層のプロトコルであるTCPの役割である。
 コネクションレス型とは逆に、相手との接続を確認し、パケットを確実に相手に送信するプロトコルをコネクション型(connection)のプロトコルを呼ぶ。

1.2.6 IPv4とIPv6

 現在、IPのバージョンは現行の4(IPv4 : IP version 4)から6(IPv6 : IP version 6)へ移行中である。本章では現在主流のIPであるIPv4について説明している。何の断りもなくIPと記述している場合、それはIPv4を意味する。IPv6については後で簡単に紹介するが、詳しくは取り上げない。