目 次
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1.1 ネットワーク層

1.1.1 ネットワーク層の範囲とその役割

 コース1では様々なデータリンクが登場し、それぞれの特徴やアクセス方式を学んだ。例えば、家庭などで電話回線を用いた通信ではPPPが使われ、企業のオフィスなどにおけるLANにはEthernetが使われている(図1.1.1)。データリンク層は同一のデータリンク内という、比較的限られた範囲のネットワークにおける通信を実現するための階層である(図1.1.1の2層)。つまり、データリンク層のプロトコルだけでは異なるデータリンク間の通信を実現する事ができない。

 異なるデータリンク間の通信を実現するのがネットワーク層である。異なるデータリンク間で通信を行うためには、データリンク同士が相互に接続されていなければならない。この接続を行うのはルータ(router)と呼ばれるネットワーク機器の役割である。ネットワーク層では、データリンクとデータリンクを相互に接続して巨大なネットワークを形成する。 この巨大なネットワークにおける通信を実現するのがネットワーク層の役割である。

 ネットワーク層における通信ではIP(Internet Protocol)というプロトコルを使用する。このIPという全データリンク共通のプロトコルを使用することにより、データリンクに依存することなく、世界中のコンピュータと通信を行う事ができる。

図1.1.1:ネットワークを相互に接続して巨大なネットワークを形成する

 相互に接続されたネットワークは、別名インターネット(Internet)と呼ばれる(Internetの「Inter」は「相互の」という意味)。事実、インターネットは小さなネットワークが相互に接続してできた、1つの巨大なネットワークである。つまり、ネットワーク層が扱うネットワークの範囲はインターネットであると言うことができる。

 注:ネットワーク層における情報伝達の単位は、OSI参照モデルではパケット(packet)と呼び、TCP/IPモデルではパケット(datagram)と呼ぶ。本章ではパケットと呼ぶ事ことにする。また、通信を行う端末をホスト(host)と呼ぶ事にする。


1.1.2 ネットワーク層を構成するプロトコル

 ネットワーク層は以下のようなプロトコルで構成されている。
  • IP(Internet Protocol)
    IPはパケットを宛先ホストに送るときの経路決定やホストのアドレス設定などを行う。このアドレスはIPアドレスと呼ばれる。IPはネットワーク層の中で核となるプロトコルである。基本RFCはRFC 791である。IPについては次節から詳しく説明する。

  • ICMP(Internet Control Message Protocol)
    ICMPはパケット配送中に発生したエラーに対する処理など、主にIPの補助的な仕事を行う。ICMPはRFC 792で規定されている。ICMPについてはコース2の第2章を参照されたい。

  • ARP(Address Resolution Protocol)
  • RARP(Reverse Address Resolution Protocol)
    ARPはIPアドレスからそのホストのMACアドレスを得るためのプロトコルである。これに対してRARPはMACアドレスからIPアドレスを得るためのプロトコルである。RARPは現在あまり使われていない。ARP、RARPは主に、ネットワーク層とデータリンク層の橋渡し的な役割を果たす。ARPはRFC 826で、RARPはRFC 903で規定されている。ARP、RARPについてはコース1を参照されたい。